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まずは自分の立ち位置を左にずらし、彼女の両胸の感触を背中で味わいたい。
(バレないように電車の揺れに合わせて、自然に、自然に…)
5分もいらなかった。
見事彼女の両胸が俺の背中にフィットした。
彼女はやはり無反応(のように感じた)。
それでもこの状態で俺は幸せだった。
しばらくこの感触を背中で感じていたが、俺のスケベ心はさらに次の計画を思いついた。
まずは右手を、背中が痒いかのように自分の左脇に挟み込む、というものだ。
左脇の後方で彼女の左胸が背中を押し付けているが、電車の揺れでその隙間が緩くなった瞬間に手の平を差し込み、そっと彼女の胸を包み込んだ。
決して強く揉んだりはしない。
(俺の手の平は今、背中になりきっている。バレるはずがない)
さらに調子に乗った俺は、次の計画に進んだ。
(片方だけじゃ物足りない。両乳いっぺんに味わいたい。左手も右脇を通して右胸も…)
自分の両手が、その体勢から両胸に届くほど柔軟ではない事を考える余地はなかった。
(周りから見れば単純に腕組みしてるだけにしか見えねぇよな…)
時間にして30秒くらいだろうか。
彼女の両胸が俺の手の平に包まれた。
この時点で、当時の俺としては人生最高の瞬間を味わい、幸せを噛み締めていた。
しかし無理な体勢は続かず腕組み自体が外れ、俺は少々焦ったが、周りの乗客も彼女も無反応だった(ように感じた)ため、右手だけは左胸に密着させていた。
揉んだりはしないが、揺れに合わせて押してみたり、膨らみに沿って滑らしたりはした。
なにせ俺の手の平は今、背中になりきっているのだから。
しばらくその状態を楽しんでいたが、時間の経過と共に乗客が減ってきた。
周りから見ても明らかに不自然に彼女の正面に密着した俺の背中(と手の平)。
馬鹿な俺でもそろそろヤバいかと感じ始めた。
(少し距離を取ろうか…でもそうなると手の平も離れないとダメだなぁ」
(いや、その前に彼女の方から彼女自身の意思で離れる事も可能だろ)
しかし、彼女は嫌がる素振りを全く見せない。
ひょっとして最初っからバレてたのか?
そんな事を考えてる間も俺の手の平はずっと胸を包み込んでいる。
(そういえばまだ顔とか見てないけど、まさか知ってる女?)
そう思ったら余計に怖くて顔など確認出来ない。
そうこうしているうちに、俺の降りるべき駅が近づいてきた。
"いよいよ彼女(の胸)ともお別れかぁ…。そこで彼女(の胸)が降りれば、一緒に降りよう"
当時の俺は考え方が短絡的である。
その時既に、乗客は座ってる人と立っている人が同じくらいの数になっていた。
これで俺が密着してるというのは、今考えると実に不自然極まりない。
なぜ誰にも注意されなかったのか、そしてなぜ俺が現在でも無事人並みの生活をしているのか…。
この謎は未だに解けない。
その駅に到着したが、彼女は降りない。
…そして俺も乗り越した。
(まだまだこの状態を味わえるー)
しかし、その時近くの座席が空いた。
(おお!これで彼女は絶対座るだろう。さよなら青春だ)
ところが彼女は俺の背中から胸を離そうとはしなかった。
密着した体勢を変えようとはしなかったのだ。
馬鹿な…ここで俺は、"彼女は知人に違いない"と確信さえ持ち始めた。
彼女も楽しんでるなどという考えはこれっぽっちも浮かばなかった。
結局そこから3つ先の駅で、ごく自然に、何事もなかったかのように俺の背中から離れた彼女(の胸)はそのままホームに降り、改札へとまっすぐに歩き出した。
どうしていいか分らなかった俺も、ズボンにテントを張ったまま彼女(の胸)の後を追った。
さすがに馬鹿な俺の脳みそでも、乗り越し精算している間に彼女(の胸)を見失う事は計算できたので、改札を出た彼女(の胸)が見えなくなるまで目で追った後、そそくさと反対側のホームに戻った。
最後まで顔を確認する事はできなかったのだが、これは俺の最初で最後の痴漢体験であった。
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